燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
16章:幼馴染と私の気持ち(一条 side)
連絡をもらって、とにかく私はつばめちゃんのもとに走っていた。
先に天馬が行っている。あいつも、大丈夫だろうか……。
病院は、良いことと悪いことを天秤にかけたら、悪いことの方が起こりやすい、そんな場所だ。だからこそ、私たちはその天秤を良いことが起こる方に傾けようといつも頑張ってる。
特に東雲総合病院という場所は、医者だけでなく、看護師も、検査技師も、薬剤師も、クラークも、ソーシャルワーカーも、そして、つばめちゃんも。誰もが全員、そう願って走り続けてた。
それを率先して続け、その背中を見せ続けているのは、つばめちゃんだった。そして、天馬だった。
なのに。
なんで神様はこんなに意地悪なんだろう。
走っている間、ずっとそんなことを考えていた。