燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
それから天馬もつばめちゃんも本当に仲良くて、私はこのままでずっとやっていけるんじゃないかって思っていた。
でも、工藤先生はもとより、つばめちゃん自身は、そうは思っていなかったのだと、後になって知った。
その日、夕方病院に入ると、大熊さんが走ってきたところに出くわした。
「大熊さん、どうしたんですか」
「いや、このあたりで不審者の目撃情報があったから気になって来た」
私が答えようとすると、ちょうど私のスマホが鳴る。
「電話? 外そうか」
「待って。つばめちゃんからです」
私はそのまま、電話に出ると、
「もしもし? あのね、今大熊さんが来てね……」
『麗子先生にお願いがある』
差し迫った声で、つばめちゃんは言った。
「な、なに?」
『あのね、今から送るもの、今のあたしの記憶がなくなったら、拓海に送ってほしい』
「どういうこと? 何送るの? いま、どこ?」
『お願い』
電話はその一言で切れて、スマホを見てみると、ちょうどつばめちゃんからメールが届いた。
添付ファイルをつけて。