燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 『天馬先生』って言ったつばめちゃんは、明らかに3か月間のつばめちゃんとは違った。
 彼女はそんな風に天馬を呼んだことはないし。
 天馬に抱きしめられたからってこんな風に心底驚いたりもしない。


「……つばめ」

 天馬は、それをわかっているかのように、でも、そのままつばめちゃんを抱きしめた。
 私は泣きそうになるのをこらえて、

「つばめちゃん、心配したんだから!」

とその手を握る。
 すると少しして、つばめちゃんはまた目を閉じた。

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