燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
「今回のことが、つばめちゃんの優しさが裏目に出た結果なら、私はなんだかやるせないです」
自分でも驚くほど、声が震えた。
「あの時、彼女がヤツを見つけて、とっさに追いかけた……。たぶん、あの時、思い出したんじゃないかな。犯人の顔。それで、事故に遭いそうになった。でも、その時、ヤツはとっさに彼女をかばった。逆でも絶対彼女はそうしただろ。彼女のそういう優しさはきちんと伝わってたと、……思いたいな」
「……そうですね」
それを助けようとした大熊さんまで事故に遭ったらしいのだが。
その話は、情けないから、と自分からしないところが大熊さんらしいと思った。おかげでつばめちゃんは大きな怪我もなく、かすり傷程度だったのに。