燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

「あの二人は大丈夫かな。つばめちゃん、次は3か月前の記憶で止まってるみたいですけど」
「きっと大丈夫だ」

 きっぱりと大熊さんは言う。

「なんでそう言い切れるんですか?」
「……刑事の勘」
「それ、こういうことにもきくんですね」

 刑事の勘ってすごいな。
 そう思って言うと、

「……すまん、ウソだ」

と大熊さんは心底申し訳なさそうな声を出した。

「ぷっ!」

 その大熊さんの申し訳なさそうな様子に、ゲラゲラと笑ってしまう。


 私がひとしきり笑った後、大熊さんは、

「でも、そうでもないとさ、こんな仕事続けていけないだろ」

と言った。大熊さんの目は真剣だった。

 私はその目を見て、心が、ぎゅ、っと締め付けられる。

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