燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
少し前に彼女と初めてのデートをした。
東雲院長からは『入籍するまでは清い交際で』という話だったので、人通りの多いカフェを選んで。
そんなデート自体初めてで、僕は正直、どうしていいのかわからなかった。
「婚約、驚かなかったの?」
そう聞いた僕に、彼女は言った。
「全然。でも、お相手が天馬先生とは思っていませんでした」
「なんで?」
僕が問うと、彼女はさも当たり前のように、
「天馬先生は、一条先生ととてもお似合だからです」
「一条はただの幼馴染だよ」
「それでも、これ以降はわかりませんよね? 運命ってそういうものだし」
彼女はどうも、一条と僕が付き合ってる、もしくは僕が一条のことが好きだと思っているようだった。
その日、何度か修正を試みたが、まったく話がかみ合わなかった。