燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
それを知ったら嬉しくて、恥ずかしいほど破顔した。
こういうことを『運命』というのか? 初めて、そんな言葉が頭をよぎった。
彼女は、自分が好きになって、周りも足元も全部僕が固めて、
無理矢理築きあげたような関係だと思っていたから。
昔の、偶然の出会いが、こんなにも嬉しいなんて……。
「で、あたしが25歳になったら、その拓海があたしの婚約者ってことよね?」
「うん……正確にはつばめが22歳のときに婚約した。イヤだった?」
「別に嫌じゃないわ。むしろ嬉しい!」
そう言われて驚いた。
少なくとも、記憶をなくす前のつばめちゃんはそうは思っていなかったはずだ。