燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 つばめが記憶をなくして1か月ほどが過ぎた時、
 僕は1つの提案をつばめにした。

「入籍しない? そうすればもっと堂々と一緒にいられるし守れるから」

 つばめは全く迷うこともない様子で、コクン、と首を縦に振って、
 僕たちは入籍した。




 その夜、本当なら初夜、だったのだけど……
 僕は、つばめに手なんて出せなかった。

 きっとつばめは、怖がる。
 それが事件を思い出すきっかけになるかもしれない。


 僕はベッドに横になったつばめの髪をなで、つばめは起きていたのかくすぐったそうに笑うと、まっすぐ僕の目を見て、それから唇を合わせてきた。

 その感触に僕は眩暈に似た興奮を覚えて、できるだけ冷静に
 そっとつばめの身体を離すと、おやすみ、と、自分はベッドから抜け出した。

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