燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 つばめは、泣くのを我慢するようにしゃくりあげ、
 でも我慢できなくて涙を流すと、

「あ、あたしはっ……! 拓海に触れたいし、触れられたいっ。なのになんで⁉ こんなのあたしじゃない!」

と叫んで、わんわん泣き続けた。

 つばめに触れようと手を伸ばしたけど、つばめは男に恐怖心を覚えているだろうと、手がとまる。それを見て、つばめはまた泣きだす。

「ごめんなさい」
「つばめ」
「ごめんなさい、拓海……!」


 なんでつばめが謝るんだ。

 僕はその言葉に、胸がえぐられそうになる。
 えぐえぐと泣き続けるつばめに僕は何もできないもどかしさで、歯を食いしばった。


 何で自分は彼女がこんなに苦しんでるときに。
 何もできないんだろう。


 自分の無力さに吐き気がする。
 あの時も……そうだった。

 僕は感情を押し殺すと、僕はソファでねるね、だから心配しないで、とできるだけ優しく彼女に告げた。


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