燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 旅行の日がきて僕らは、温泉旅館に着いた。

 部屋に案内され、仲居さんが二人分の浴衣を持ってきてくれる。
 つばめは牡丹柄を選んで着てみせてくれて、僕はその姿を見て思わず顔が綻んだ。



 いつから、ゆっくりつばめをまっすぐ見てなかったんだろう。
 もしかして最初からだったのだろうか……。

 僕はそんなことを思う。つばめは目が合うとにこりと笑った。
 ……つばめはいつもこっちをまっすぐ見てくれていたのに。


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