燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
彼女はふっと笑うと、
「ねぇ、拓海。きっとあたしはあなたがしたことならなんでも許しちゃうわ」
と優しく言う。
その声を聞いていると、泣きそうになった。
そして、つばめは自分の浴衣の帯をほどく。
「だから、大丈夫」
その震える手が愛しくて、
僕は覚悟を決めてその手を上から握って、彼女の浴衣の帯を少し乱暴に引き抜く。
何か言いかけた彼女の唇にキスをして、その甘い感覚に頭がくらくらした。
つばめが涙目でこちらを見て、決心が揺らぎそうになったけど、強く、長いキスの途中、つばめの手が僕の背中に緩く回った。その感触に、つばめを抱き上げて、用意されていた布団の上に横たえる。
何度もキスを交わして、全部を奪って、傷つけて、それでも僕を覚えていてほしくて……。震える体を抱きしめて、流れる涙を舐めとって、また、何度も口づけて。
僕らはその日、初めて愛し合った。
その合間に、彼女は確かめるように、
何度も何度も、僕の名を呼んでいた。