燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 つばめがまた眠ってしまって、一条は僕を見つめると、

「つばめちゃん、『天馬先生』って言ったよね。記憶がまた戻った?」
「……かもしれない」
「あのね、天馬。もし3か月間の記憶がなくなったら、つばめちゃんに渡すように頼まれてた」

と自分のスマホを取り出した。

 つばめに『頼まれた』もの?
 驚いて一条を見る。

「……なにを?」
「送る」

 そのまますぐ、自分のスマホに、一つのデータが送られてきて、
 僕はそれを迷うことなくすぐに開いた。


「ごめん。私、さっきこれ聞いちゃったんだ。……あの時、つばめちゃん分かってたんだろうね。自分の、3か月間の記憶がなくなるかもしれないってこと。だからこんなもの残したんだと思う」


 次の瞬間、つばめの声が耳に届く。
 僕はそれをじっと聞いていた。


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