燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
22章:とろけるような甘い日々
「つばめ? 何してるの?」
その声にピクリと身体が跳ねて、手を伸ばしていた先にあった書類が、ずる、と自分の方に落ちてくる。
(あ、これ、頭の上に落ちるパターンのやつだ!)
目を瞑ってその衝撃に耐えようとするけど、なかなか書類の束は落ちてこない。
恐る恐るゆっくり目を開けると、それはもう後ろにいた天馬先生の右手にキャッチされていた。
良かった、というべきか。
悪かった、というべきか。
背後から感じる不機嫌そうなオーラを、私は見ないふりをして
そのまま「ありがとうございます」と頭を下げた。