燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 結局そのままベッドに運ばれて、先生に心ゆくまま貪られた。
 私もいつも以上にドキドキして、先生の手に、唇に翻弄され続けたのだけど……。



 夜中、目を覚ますと、天馬先生がまた起きていて、私の髪をなでていた。


(起こしてくれればいいのにーーー!)

 いつもこうだ。
 天馬先生はいつも私のことばかり見て、私に甘くしすぎ。


 思わず睨むと、

「お水。飲める?」

といつから用意していたのか、ベッドサイドのペットボトルを私に渡した。


「ありがとうございます……」

 私がこくり、と水を飲むと、天馬先生は私の髪を優しくなで、

「ごめんね? ちょっと無理させたね。でも、つばめの反応がかわいすぎて止まらなかった」

と笑う。


「うううううう!」


 思わずうなる。なにそれなにそれ!
 そんなこと言われたら、絶対拒否なんてできなくなる。

 恥ずかしくなって顔をシーツにうずめた私に、

「なにか食べられそう? あ、つばめの好きな、アイス買ってきたよ。プレミアムストロベリーバニラキャラメル」

と言った。

(なにそれ、おいしそう!)

 私はパッと顔を上げると、返事もしないうちから、
「うん、持ってくるね」
と先生は私の額に口づけて、ベッドを抜け出した。

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