燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 また唇が重なって、次は舌が口内に入り込んでくる。
 苦しくなって、息ができなくて、なのに先生はやめてくれなくて、何度も何度も全部を奪うように先生はキスをつづけた。

 そして、口の中を全部舐めとると、

「つばめの口の中、あまいね」

と目の前で楽しそうに笑った。



「そんなことされたら、アイス食べられないです」
「じゃ、僕が食べさせてあげる」

 そう言った先生は、アイスを自分の手の中に奪う。

 先生はアイスをひとすくいすると、私の顔を見る。

(甘えるって……食べさせてくれるってこと?)

 そう思いながら、あーん、と口を開けてみると、先生はクスリと笑って、自分の口にそれを入れると、口移しで私に食べさせた。


 突然のことに私は言葉を失う。


「これ、やってみたかったんだ」
 先生は楽しそうに笑った。


「……あ、あ、あ、アイスくらい、普通に食べさせてください!」


 私が真っ赤になって叫んでも、天馬先生は楽しそうに笑っただけで、
 結局最後まで天馬先生は私を甘やかし続けた。



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