燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
最終章:運命の作り方
―――3年後。
「先生、これね。名づけ本と、育児本と、あとはね~……」
「鈴木さん、ありがとうございます」
「ふふ、先生もとうとうパパですか。これもあの本の効果ですかねー」
「その節は……どうも」
「あ、あとね、これつばめちゃんにも!」
自分の名前が聞こえた気がして、思わず顔を診察室に向けた。
『<診察室1> 医師:天馬拓海』
診察室前に掲げられたその表示を見て、あぁそういうことか、と思う。
でも、確か、今日は午前は外来診察の担当じゃなかったような……。
だから私はこんなに油断してここにいると言うのに。