燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 あまりにも天馬先生がいつも私を甘やかして、
 いつも近くにいて、いつも優しくして。

 そのせいだ。
 そのせいで、私は天馬先生に絶対に言ってはいけない一言を放った。


 妊娠中で不安定だったのもある。
 私は病院に行く天馬先生を見て、一緒にいたくて、いてほしくて、仕方なくなってしまって。


『今日、病院行かないで……!』


と大泣きしながら言ってしまったのだ。


 一生の不覚だ。
 まさか自分がそんなこと言うなんて思ってもなかった。

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