燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 でも、天馬先生は少し面食らった顔をした後、とってもとっても嬉しそうに笑った。
 その笑顔を見て、私は一瞬で、彼はなんでも受け入れてくるのだと悟った。

 そのあとすぐ我に返った私は、いや、ごめん、早く行って。と言ったのだけど、天馬先生はその日、いつもより早く帰ってきてしまったのだ。



 私は猛省した。
 病院や患者さんより自分のことを優先させようとするなんて……。

 本当に私はバカだ。
 医師の妻、失格だ。



 言い訳するわけではないが、そんなことを言ってしまったのにはもう一つ理由がある。
 最近、天馬先生がやけに甘やかす日の夜、私はある夢を見るようになっていた。

 それは天馬先生と私が、楽しそうに一緒に過ごしている夢。
 それだけなら普通なのだが、明らかに私は天馬先生を呼び捨てにしているし、わがまま放題だった。

 私は直感的にあの失っている3か月間の私ではないかと思い始めていた。


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