燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
天馬先生と二人の帰り道、
「そういえば、もう桜が綺麗に咲いてるんです。すぐ近くの公園に、少しお花見しに行きません?」
私が言うと、いいね、と天馬先生は笑う。
私たちは近くのカフェでランチを買い込んで公園に行くと、
もう公園の桜は満開になっていた。
「つばめ。寒くない? これ着てて」
天馬先生は自分の着ていた薄手のコートを私に羽織らせる。
私は頬を膨らませると、
「もう過保護、やめてって言ってるじゃないですか」
「ごめん、でも心配だから」
天馬先生が言った瞬間、またおなかの中で、ぼこ、と強く蹴られる感触がした。
「うぅっ……!」
「また蹴ってる? 大丈夫? ほんと元気だよね」
「なんでこんなに元気なんだろう……。女の子なのにヤンチャすぎる……」
私がつぶやくと、天馬先生は楽しそうに笑う。
「それはつばめに似たんじゃない?」
「私、そんなにヤンチャじゃないですって」
「案外小さい時はヤンチャだったと思うよ」
何よその確信めいた言い方。
私が眉を寄せると、天馬先生はそこにあった椅子に私を座らせた。