燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
スマホの中の私は続ける。
『あたしは、あなたの忘れた記憶を持ってるあなた。あたしはね、小学2年の時初めて拓海に会った。病院近くの公園で、あたしを助けてくれた拓海に一目ぼれしたの。あの日、あたしと拓海が出会ったのは偶然。拓海が病院に研修医として来て、再会したのも偶然。でも、結婚したのは拓海が必死に病院長室でつばめさんが好きだって叫んだからで……』
(好きだって叫んだ?)
私が天馬先生を見ると、天馬先生は少し恥ずかしそうに頭を掻いた。
『そして、もしあなたが、拓海と『本当に初めて出会った日』のことをいつか思い出すようなことがあれば、これは運命だったと思うの。だからね、あなたは運命の人と結婚したのよ! つばめちゃん!』
それを聞いて、私は、なんだかすごく泣けてきて、
次から次へと涙がボロボロと止まらなくなっていた。