燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


「っていうかさ、つばめ、なんか自分の式の時より泣いてない?」
 そう言われて、私は自分の結婚式を思い出す。

 私と天馬先生も入籍から少し経過していたものの、2年前に結婚式を挙げた。
 感動もしたし、嬉しかったけど、今日の式が自分たちのものとはまた少し違うのは確かだ。



「うーん……工藤先生は、何ていうか、特別だから」
 私は思わず言う。

「特別?」

「確かに」
 それに一条先生が加えた。

「一条まで……。天然の人たらしか……あいつは」
 天馬先生がため息をついて、真紀さんと並ぶ工藤先生を見る。



「……確かに人たらしだな。っていうか、俺まで呼んでもらってよかったのか」

 そして、そう言ったのは、一条先生の隣に座る大熊さんだった。
 一条先生は、

「なんか大熊さんにもぜひ来てほしいって工藤先生が」

と大熊さんに言う。
 大熊さんと一条先生も、付き合っているのだ。



 最初二人が付き合っていると聞いたときは、驚きのあまり私は言葉を失った。
 でも二人を見ていると、美女と野獣さながら、とてもお似合いの二人だと思った。

 なんだかんだ、一条先生が大熊さんにベタ惚れで、
 見た限りでは、大熊さんも一条先生を見る目は他の誰より甘い。

< 337 / 350 >

この作品をシェア

pagetop