燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
「……っていうか! 違いますからね⁉ それは天馬先生と一条先生が付き合ってるって思ってたからで!」
私が言うと、次は一条先生の隣にいた大熊さんの表情が固まる。
「いいいいいいいや、ちがいます! 大熊さん、それも誤解です!」
「あ、あぁ……」
あぁ、もう。
なんだ、これ。何だ、この状況。
今すぐどこかへ逃げたい気持ちを抱えていると、天馬先生がにこりと笑った。
―――お、怒ってないよね?
大人だもんね? こんなことで怒んないよね?
そう思ったのだけど、
「つばめ? 今夜、そのあたりをじっくり教えてくれる?」
聞いたこともない低い声で言ったものだから、私の身体は固まるしかできなかった。