燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 すると、大熊さんは披露宴がすべて終わった後、
 結婚式場の外にある庭に一条先生を呼んで向き合う。

「あの、こういうのはなんていうか」

と言って、ポケットから指輪を取り出した。


「結婚してください」
「はい」


 一条先生は即答した。
 それにはむしろ大熊さんが驚いたようだ。

「……はい?」
「はい、もちろん、って意味です」

 一条先生が笑って、大熊さんも嬉しそうに笑って
 私はそれを見て、思わずまた泣いていた。

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