燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 私はガクリと肩を落とす。
 すると天馬先生は

「心配しなくても、帰ったら何か思い出すかもしれないよ」

と言う。

「別に思い出さなくても何の問題もないし、心配は別のことなんですけど……」

 私が泣きそうな顔で言うと、天馬先生は楽しそうに笑った。
 私はそんな天馬先生をじっと見てしまう。

 病院でも思ったけど、天馬先生ってこんなに笑うんだ。
 考えてみたら、今までは、笑ったところもほとんど見たことなかったなぁ……。

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