燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

「ま、一条が途中悪乗りしたのは確かかもね。あいつ、つばめが喜ぶことが好きだったし。僕らがうちに研修医として来たとき、つばめは高校生で、僕ら見て『すっごいお似合い! 写真撮ってもいいですか』とか言いだすし。覚えてる?」

 そう言われて、ふと思い出す。

 そういえば、初めて会ったとき、二人が楽しそうに談笑していて、私はそれを見て、てっきり付き合ってると思った。心からお似合いのカップルだと喜んで、そしてついでに写真を撮らせてもらったのだ。

「その写真は今も大事に保管しています」
 私が言うと、天馬先生は、まだあったの、と苦笑する。



「ま、正直、最初のうちはそんなことは別にどうでもいいと思って修正することもなく放っていたんだけどね」
「そうなんですか」

 せっかくなら事実にしていてほしかった。

 そう思ったのを見透かされたように、天馬先生は私の頭を軽く叩いて、手をそこに置いたまま真剣な顔をする。
 そのまっすぐな目を見てしまうと、目がそらせなくなる。



「でも、つばめのこと好きになってからそう言われるのは結構キツかったんだよ?」
「え……」


 ん?
 ちょっと待って?

 好きになってから……って。
 好きって、言ってる⁉

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