燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

「東雲先生が突きつけた婚約条件は一つ。『入籍するまでは清い交際で』だ」
「えぇっ!」

 お父さん! 勝手にそんな条件つけてたの!
 いや、確かに色々経験のない私にとってはありがたかったけど。

 だからカフェだったのね。
 大人の雰囲気のある店やホテルのバーなど、一度も行ったことない。



 色々と新事実発覚で私はもう訳が分からなくなっているのに、天馬先生の告白は続く。

「少しでも触れると自分でもタガが外れるんじゃないかって戦々恐々としてたから、わざわざ明るくて人通りの多いところを選んでた」

 そうだったの……。
 あの時やけに人通りの多いところのカフェばかり指定してくると思ってた。

 っていうか、先生、いつもあんなに何でもない顔していて、そんなこと考えてたの⁉
 私は非常に複雑な気持ちになる。

< 49 / 350 >

この作品をシェア

pagetop