燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


「だから、つばめが事故に遭ったとき、生きた心地がしなかったんだ」
「ひゃっ」

 またぎゅう、と抱きしめられる。
 先ほどから、ずっと天馬先生が私に触れてくることが、なんだか落ち着かない。


「先生、突然抱きしめないで」
「なんで?」
「なんでって……」


 緊張する、安心する、怖い、愛しい、寂しい、嬉しい、辛い……。
 抱きしめられると、自分の感情が一体どれなのかわからなくなる。


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