燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
「私が知ってる先生は、一条先生と仲良くて」
「だからそれは違うって言ったでしょ」
「私の前でいつも笑うこともなくコーヒー飲んでるだけでした」
「それなりに緊張してたんだ」
私を抱きしめながら、先生が耳元で苦笑する。「こうされるの、イヤだった?」
今目の前にいる天馬先生が、今まで見ていた天馬先生と全然違って新鮮だった。
そして私はそんな天馬先生に、今までとは違った感覚を持ち始めていことを自覚しなければならない。
だってさっきから、天馬先生の心臓の音だけでなく、やけに自分の心臓の音も大きくて速いのだから。