燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 すると天馬先生は安心したように息を吐く。

「よかった。正直、つばめ抱きしめられないとか、ホントきついから……」

 抱きしめる腕に力が入る。あ、また天馬先生の心臓の音速くなった。私の心臓の音もそれにつられるように速くなる。
 私はなんだか顔が熱くなってきて、もし赤くなっていたらそれを見られるのはなんだか恥ずかしいなぁと、天馬先生の胸に額つけて顔を隠した。



 ふと顔を上げると、天馬先生が右手で自分の口元を覆っている。

「どうしたんですか?」
「……いや。これは忍耐力、試されてるなぁって思っただけ」
「どういう意味ですか、それ」

 私が眉を寄せると、天馬先生が困ったように笑った。
 その顔を見て、やけに胸がざわつく。

 天馬先生って、こんな顔もするんだ。
 私、もっと天馬先生のいろんな顔が見てみたいだなんて思い始めてる……。

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