燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
天馬先生はまたコーヒーを一口飲むと、
「そんなバカなこと言ってないで、そろそろ入籍の日程を決めない? 式場も早めに抑えないと」
「でも先生、毎日忙しいでしょう。だから、入籍は落ち着いたらにしましょう」
「またそれだ。そんなこと言ってたら一生入籍できないよ」
「う~ん……でも……」
今日も私はのらりくらりと入籍の日程をのばしている。
(だから、天馬先生と一条先生、二人の邪魔なんてしたくないんだってば。)
できれば他に親が認めるような婚約者候補、出てこないかしら?
そして天馬先生が院長になれる病院が他に現れないかしら?
真剣に毎日、そう願っている。
だって、私はと言うと、天馬先生が相手でなくても、うちの病院を継いでくれる人であれば誰でもいいのだから。