燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
4章:甘い生活とプロポーズ
何分、いや、何十分抱きしめられていたのだろう。
先生は諦めたように息を吐くと、私の身体をそっと離す。
そして、
「あまり無理させたくないし、今日は休んでおいて。寝室こっち」
と、私の手をひいた。
寝室はリビングと廊下をはさんだ奥。
8畳ほどの部屋で中には大きなベッドが一つ置いてあった。
「ダブルベッド⁉」
私はそれを見て、思わず叫ぶ。
このベッド、一人用……じゃないよね。枕が二つ、並んでいるのだ。
枕もとのベッドライトだって、二人分ある。絶対一人で寝ていたとは思えないベッドなんだけど……。
私が固まっていると、先生は感づいたように、あぁ……、と言う。