燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
こうしていても仕方ないか、とベッドから起き上がり、まだ寝ない天馬先生のことも心配だったので、リビングに歩いていく。
するとそこでは、天馬先生は医学書を読んでいた。
しかも、普段していないシルバーフレームの眼鏡をかけて……。
私が行くと、先生は私の気配に気づき、
「眠れない?」
「あ、はい」
私は固まって、なんとなく目をそらして頷く。
「コーヒーでも淹れようか」
「私がやります。先生も休憩しませんか?」
「あぁ。ありがと」
先生が微笑んで、私はやっぱりそんな先生を見られずに顔を背けながらコーヒーメーカーを探して、コーヒーを淹れた。