燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


「どうしたの?」

 先生は不審そうな声で聞いてくる。
 まっすぐ見られないけど、きっと不審な目でも見られているだろう。


「……先生って、普段、眼鏡かけてるんですね」
「あぁ。これ? 家で作業するときはかけてるよ。普段はコンタクトだ」
「……へぇ、知らなかった」

 また目をそらして返事をする。
 すると、先生は、ひょいと、私のコーヒーカップを手に取り、サイドテーブルに置く。


「つばめ? さっきから、目が合わないけど、どうしたの?」

 いえ、と言う返事とともにまた限界まで顔を背ける。
 目が合わないこと、しっかりバレてますね⁉

 さすが医師だ。観察眼が鋭い。
 医師関係ないかもしれないけど……。


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