燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
私はなんとなく気まずくなって、先ほど取られたコーヒーカップをまた手に取ろうと手を伸ばした。っていうかなんでコーヒーカップ取ったの?
その時、先生が私のその手を掴み、自分の方に引き寄せる。驚くより先、私の頬を両手で挟むと、無理矢理自分の方に私の顔を向けた。
「せ、先生!」
「やっぱりそうだ。なんか照れてる?」
ちょっと冷静に分析しないで!
私が慌てていると、先生がふふ、と小さく笑って、私の耳元に唇を寄せたと思ったら、
「つばめ? こっち向いてみて?」
と低い声で囁いた。
「ひぃっ!」
「やっぱり新鮮だね」
「いやいやいやいや! やっぱ、天馬先生ってかっこいいなぁと思っただけです! しかも眼鏡似合ってるし!」
私は思わず目を瞑って叫ぶ。
すると、天馬先生の手が少し緩んだ。
私は恐る恐る目を開く。
すると、天馬先生は、また口元を右手で覆っていた。