燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
5章:私の気持ちとはじめてのキス

 その日の朝、少しして、

「つばめ、誰か来ても安易に開けちゃいけないよ。ハウスキーパーさんは自分で鍵を開けるからね。あとね、必要なものは買ってくるからメールちょうだい」

 スーツを着こみ、玄関で靴を履いて仕事に出かける準備をした天馬先生は言う。
 昨日は夜に呼び出されていたけど、今日も出勤のようだ。


「……」
「どうたの?」
「天馬先生、私のことなんだと思ってるんですか……」
「なにって」
「私、大人ですけど」

 少なくとも25歳の大人だ。
 なんなら成人して5年も経っている。5年もあれば生まれた子どもがペラペラしゃべって走り回るくらいの年数だ。

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