燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
私はスマホを取り出す。
「見てみよう。……自分のだし、いいよね」
少し後ろ暗く感じる。そう思ったのは、なんだか他人のものを見るような、そんな気分になったから。
とりあえずメモ帳を出してみた。
『おもいだすな』というメモは、入院した日の日付が作成日になっている。
でも、それ以外、何かヒントになるようなものはなかった。
私は息を吐くと、もう一つ見たいものがあると思い立つ。それは、メールだ。
意を決して、私の記憶のない時のものを見てみると、全部天馬先生とのやりとりで、その全部が入院前の1か月に集中している。