燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
その時、玄関ドアの開く音。
ハウスキーパーさんかと思ったら、入ってきたのは一条先生だった。
「つばめちゃーん。大丈夫? 痛みはない?」
「一条先生! はい、大丈夫です」
「ここ近いし、外に食べに出るよりいいと思って。これ、一緒に食べよう! テイクアウトしてきた」
一条先生は病院近くのカフェの袋を私に見せて、にこりと笑った。
あぁ、その顔も美しいな……。つい見とれちゃう。
「ありがとうございます」
こうやって一条先生が来てくれて、一人でさっきの続きを考えなくてよかったことに、私は心からほっとしていた。