燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
一条先生の持って来てくれたランチは、私の好きなラップサンドで、先生と食べているだけでさらにおいしく感じる。
食べ終わってコーヒーを淹れていると、
「それより、どうしたの? さっき、私が来た時、すっごく悲壮な顔してたけど……。もしかして、天馬先生が無理矢理なんかしたんじゃないんでしょうね⁉ もしそうなら私が締め上げとくよ!」
「いや、大丈夫です」
たしかに天馬先生は少しずつ強引になってきているけど、私はそれをイヤだって感じてない。無理やりと言っても、まだ唇同士のキスもされてないし……。
私はそんなことを思って、でも、記憶のない3か月間の私なら、きっと天馬先生とはもっといろいろしていたのだろうと考えて落ち込んだ。
っていうか、何で落ち込んでるのかもさっぱりなんだけど!
私は、別に天馬先生とそういう事がしたいってわけじゃないはずだ。
それを見ていた一条先生は、一人百面相ねえ、とクスクス笑った。
私はそんな一条先生を見て、一条先生になら相談できるような気がし始めて口を開く。