燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
「わぁああああ……。確かに……そうです。きっとそうです……。こんなヤキモチやく、自分が嫌ぁあああああ……」
なんだか泣きたい気分になった。
なのに一条先生はびっくりするほど嬉しそうに微笑んで、泣きそうな顔で笑う。
「……思ってたよりうまくいってるみたいでよかった!」
「これ、絶対うまくいってないでしょ」
どこをどうやったら、うまくいってるように見えるんですか!
突っ込みたいのを我慢して、私は一条先生を見つめる。すると、一条先生は、意外なことを言った。
「そんなことないわ。だって三か月前の……今までのつばめちゃんって、なんていうか、恋愛から逃げてたし」
「え?」
「自分は恋愛の舞台に立たないで、いつも客席から眺めている、みたいな。そんな感じ」
「……」
私は思わず口を閉じた。
私は天馬先生と一条先生を『眺めている』のが好きだった。それはつまり、自分は舞台に立ってなかってことなのかな……。
でも、そもそも自分でも立てるだなんて思ってなかった。何がどうなってるんだろう。
私が考えて眉を寄せると、
「でも見てるだけができないほど、天馬先生のこと、ちゃんと好きなのよ」
と一条先生は言う。