燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
天馬先生が帰ってきたのは夜遅くだった。
でも私は何となく起きていて、天馬先生が鍵を開ける音に、まるで犬みたいに玄関まで走っていく。
「おかえりなさい!」
「どうしたの?」
天馬先生は驚いたように目を丸くした。
私は天馬先生の顔を見ると、なんだか少し恥ずかしくなってきて、いえ、とつぶやいたが、意を決して顔を上げる。
「つばめ?」
「先生、ちょっと抱きしめてほしいです」
私は言った。
だって顔見ないほうが言いやすそうだから。