燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 次の瞬間、先生は、ばっ、と右手で口元を隠す。

「何その不意打ち」
「……だめですか?」
「そんなわけないでしょ」


 天馬先生はそのまま私を抱きしめてくれる。
 私は先生に抱きしめられたまま話し始めた。

「今日、一条先生が来てくれました」
「あぁ」
「楽しかったです」
「うん」
「恋愛トークしました」
「それは楽しそうだな」

 くす、と天馬先生の笑う声が耳に残る。


「それで気づいちゃったんです」

 私はぎゅう、と天馬先生の背中に回した手に力を籠めた。



「私、天馬先生のこと、好きになってるみたい」



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