燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 先生が息をのむのが聞こえて、私は急に恥ずかしくなる。

「あはは! 私、単純ですね」
「つばめ」

 先生はそっと私の腕をもって、私を少し離すと、私の唇を優しく触る。
 ひゃ、と小さく叫びそうになって、先生を見上げると、先生はそのまま目を細めて私を見る。その目に見つめられると、動けなくなった。

「イヤなら嫌ってちゃんと言って」
「……い、イヤじゃない」

 その瞬間、唇が重なって、何度も何度も確かめるようなキスをされる。
 ちゅ、ちゅ、と啄むようなキスのあと、また長いキス。

 そっと唇が離れた時には、そのまま崩れ落ちてしまった。
 すると、先生は自分も屈んで、

「もう少ししてもいい?」

と聞いたかと思うと、私の顔を見て、そのまま唇を合わせてきた。

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