聖女の曾孫
3 怒怒怒(読み:ドドド)

扉は激しい音と共に開かれた。


「あの男はどうかしている!」


ヴァクーニの声が吹き抜けをワンワンとあがり、木霊し、そして消えた。


「どうなさったの、ヴァクーニ様。恐ろしい顔で」

「サイート・ナトヴィーに破談となった相手への接近を禁じる命令を出した」

「ええ、ありがとうございます」

「しかし愛の前に法律は無意味だと言って、宮廷の前に来ている!」

「えええっ!?」


私の声も吹き抜けをワンワンとあがり、木霊し、そして消えていった。


「な、な、な、な」

「自分たちは愛しあえるはずだった、もう一度話をさせてもらえれば誤解は解けるはずだと言って聞かない。衛兵が武力をちらつかせても、愛に殉ずる事これまさに殉愛などと宣って恍惚としながらコーネリア・コーネリア・コーネリアと歌っている」

「気持ち悪い……!」


悪寒に震えた。
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