聖女の曾孫
ヴァクーニは大股でこちらにやってくると、私の手を掴んだ。
 
ぽっ。


「え?」

「来てくれ。本人の口からはっきり言ってやれば、独り善がりの奇行だと納得するだろう」

「ヴァクーニ様……手……」


私はヴァクーニに手を引かれ、宮廷の門前まで急いだ。
素敵な時間だった。

 
「……あの……阿保」


はたして、ミトリィ伯爵サイート・ナトヴィー卿は、居た。
剣を抜き衛兵を牽制してはいるものの、深紅のマントをはためかせ、私の名を歌詞にのせて歌っている。

カチン、と。
きましたとも。


「サァイーート・ナトヴィィィッ!!」

「はっ! コーネリア!」

「行け、フルグアス。あの阿保の息の根を止めて来い」


ヴァクーニに背中を押され、私は駆けだした。
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