聖女の曾孫
さっきからヴァクーニが私を誘ったり気遣ったりしているように思うのだけれど……恋焦がれる相手の幻覚を見てしまうなんて、もう末期だわ。
「フルグアス。外に出よう。気分転換が必要だ」
「……」
愛しのヴァクーニはそう断言すると、私が散らかした机の上をテキパキと片付けて、私の手首を掴んだ。確かな感覚だった。私は、立ちあがって、彼を見あげた。
「笑わせてやれるような洒落のひとつでも言えたらよかったんだが」
「……」
どうやら。
もしかして。
これは……現実?
「ヴァクーニ様……」
「行くぞ、フルグアス」
ヴァクーニがハンカチで私の額と顎辺りを、拭いた。
「……!」
大丈夫。
たぶん私、この人に、嫌われてはいないわ!
「はい!」
はいっ、はぃっ、ハイッ……と、色めき立った私の声が吹き抜けをあがっていった。
「フルグアス。外に出よう。気分転換が必要だ」
「……」
愛しのヴァクーニはそう断言すると、私が散らかした机の上をテキパキと片付けて、私の手首を掴んだ。確かな感覚だった。私は、立ちあがって、彼を見あげた。
「笑わせてやれるような洒落のひとつでも言えたらよかったんだが」
「……」
どうやら。
もしかして。
これは……現実?
「ヴァクーニ様……」
「行くぞ、フルグアス」
ヴァクーニがハンカチで私の額と顎辺りを、拭いた。
「……!」
大丈夫。
たぶん私、この人に、嫌われてはいないわ!
「はい!」
はいっ、はぃっ、ハイッ……と、色めき立った私の声が吹き抜けをあがっていった。