聖女の曾孫
5 いつものふたり
「半分は元に戻ったな。まだしばらくは多めに食べる必要があるだろうが」
「ええ」
「少し頬がこけた。でも、明日の朝には顔色も期待できそうだ」
「ええ!」
ヴァクーニとティータイムを過ごしている。
花園とケーキだなんて、本当に似合わない風貌。
「まったく。気を揉んだぞ。思いがけず繊細なところもあるんだな」
でも少し、いつもより寛いだ表情に見える。
私はうっとりと見惚れながら、フォークを握り、皿に置き、また握りを繰り返す。
「悩んだのよ」
「無理もない。嫌な男につきまとわれて、拒絶しても尚、恍惚と愛を語られたんだ。男性より女性のほうが当然ながら恐怖も大きいだろう。無神経に対峙させて、本当にすまなかった」