聖女の曾孫
「いいの、もう。元気になったわ」

「よかった」


私を思いやってくれる気持ちが嬉しくて、ケーキを食べるどころの話じゃない。
ヴァクーニの視線が逸れた。


「不思議だな。随分長く一緒にいるのに、こうしてプライベートで飲み食いするのは初めてだ」

「ええ、そうね」

「お互いに宮廷暮らしが板についている。なんだかこのままずっとこんな日々が続く気がしている」

「ええ、私も」


ヴァクーニが結婚適齢期だとしても、そんな愚かな質問をして自ら高揚感を挫くようなヘマはしない。


「私の仕事は終わりが見えないし、あなたも領地を継ぎそうにないし」

「その通りだ」


ヴァクーニが微笑んだ。
心臓が、口から飛び出しそう!


「愛してるわ!」


と、叫びそうになったけど妄想に留めた。
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