聖女の曾孫
「コーネリア!」
パッとしない勇者の末裔ミハイル・ラトキンも、扉を閉めてしまえば入ってこれない。もう、しつこくて本当に嫌。
昼食後に噴水広場を散歩をしていたら、また捉まってしまった。
「分家筋だからってなんなのよ。冒険は昔話の中だけにしてと、いうのっ」
扉の向こうから私の名を叫ぶミハイルの声が言い聞こえる。
もう一度、額をひっぱたく気持ちで扉を叩いておく。
私は大理石の廊下を早足で進み、仕事場である書庫へ向かった。