聖女の曾孫
「どうだろう。これから、少しこういう事の頻度を上げてもいいんじゃないかと思うんだが」
これは妄想じゃなく、ヴァクーニからの驚きの提案。
「ええ、賛成!」
「それじゃあ、先に仕事が片付いた方がもう片方を訪ねるという形式でいいか?」
「ええ」
「だいたい、いつもこちらからなんだが」
「……」
私はふと、これまでのヴァクーニとのやりとりを思い出して考え込んでしまった。
たしかにいつも訪ねてくるのは彼で、私から彼の執務室に赴いた事はない。随分前に議会のための資料を届けた事があったけれど、あれっきり。その前は……思い出せない。
「私が出不精だからだわ」
「ああ。書庫は別名フルグアス城と呼ばれているからな」
「え? そうなの?」
「嘘だ。実際、用はあるんだが……理由をつけて顔を見に──」