聖女の曾孫
「コーネリア!!」


突然、別の男の声が割り込んでくる。

いいところなのに……!

憎しみを込めて声のほうに首を巡らすと、勇者の末裔ミハイル・ラトキンが通りの向こうから走ってくるのが見えた。


「……」

「ましだと、言っていたほうの男が来たぞ」

「ええ」

「接近禁止令を出そうか?」

「いいえ」


私はケーキを一口頬張って、紅茶を舐め、口を拭い、椅子から立った。
そして走ってくるミハイルを視界から追い出してヴァクーニを見おろし、満面の微笑みで続けた。


「いいの、ぶっ潰してくるから」


私とヴァクーニの邪魔をする奴は許さない。
ヴァクーニは訳知り顔で笑って、紅茶を啜り、目線で私を送り出した。


「行ってこい、コーネリア」

「──」


名前を呼ばれた!
< 21 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop